大野ゆうきの大阪湾遠征アフタートーク アウェーの釣りを繰り返すことで引き出しと応用力は格段に向上していく

東京湾奥のアーバンサイドフィッシングでは人気・実力ともにNo.1の大野ゆうきさん。そんな大野さんが大阪のフィールドに挑む。経験豊富な大野さんは大阪での実釣経験はもちろん初めてではない。大野さんから見た大阪というフィールドと東京の違い、そしてアウェイの釣りの楽しさを語っていただいた。

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大野 ゆうき おおの ゆうき

東京湾奥をホームに年間1トンを越す水揚げを誇るソルト界屈指のアングラー。レンジ、アクション、スピードの3つの要素を軸にルアーローテを展開。マッチザベイトに頼らず、いかにして口を使わせるかといった釣果直結の理論を持つ。過密フィールド、ハイプレッシャー下でテクニカルなキャストと豊富な引き出しで圧倒的な釣果を叩き出す。

大阪湾は東京に比べて潮の影響が強いのが特徴

大阪湾には過去にも訪れたことがあるんですか?

大野:大阪・神戸方面の釣り自体は、過去10回程度はオカッパリやボートシーバスで釣ったことがあります。今まではメジャーな場所ばかりやっていたんですが、今回はnada.の荒牧さんの案内もあって、初めての場所で釣りができて楽しかったですね。細い運河や足場の狭いところでのデイゲームなど、水深が浅い小場所でシーバスが1〜2本しか付いていないようなピンスポットで釣りをしました。東京にも似たシチュエーションが多かったですよ。

では逆に、東京との違いは感じましたか?

大野:湾の構造でいうと、大阪湾は外海の潮の影響を強く受けるエリアなので、フィッシュイーターなら青物やタチウオ、ベイトフィッシュならマイワシなど、東京湾奥では見られないような魚が奥まで入ってきますね。東京湾奥でいうと豊洲やお台場でタチウオが釣れちゃうようなイメージです。大阪湾はマイワシパターンがメインになるタイミングがあるのですが、東京湾奥にはマイワシパターンはないですからね。
あとは潮の強さ。イワシ系のベイトフィッシュが湾の奥の奥まで入ってくるほど潮が強いんです。また、大阪湾のほうが圧倒的に塩分濃度が高いと思います。東京湾奥は多摩川、荒川、江戸川など流量の多い河川が多く、塩分濃度が低いんです。そういったことも関係してると思いますよ。

先日の実釣取材ではどのような釣りをしたのでしょうか。

大野:港湾部を回ったときは、イナッコだったりサヨリ、カタクチイワシがいるようなエリアを回りました。あとはエビやカニ、ハゼがいましたね。夜に明暗部を狙ったときはサヨリやカタクチイワシの強いエリアでした。
港湾部でよく使ったのは、komomo SF-85。これを壁際に入れて巻きながら時折ジャークを入れるパターン。イワシのサヨリの強いエリアではK-太 77 SUSPENDを使って、同じく壁際を引いていくとバイトが出ました。ゴムのダンパーのような部分があるのですが、これに当てながら引いてくるパターンですね。あとは明るい場所と境目が弱い明暗部。そこは飛距離が欲しかったのでCALM 110のただ巻きで狙いました。最大魚は淀川で釣った81cm。50cm〜60cm台も何本か出て、楽しい釣行でしたよ。

大阪のシーバスのサイズ感や魚影は、東京とは違うのでしょうか?

大野:ピンについた魚ではアベレージは60cmくらいで、割とサイズは良かったですね。イワシ、サヨリについた魚も60cm前後と、ヒットした魚はサイズが良かったです。もちろん、時期やタイミングによって変わってきますが、今回はそういう良いサイズが反応してくれましたね。
魚影に関しては、東京の港湾部と比べてもあまり変わらないんじゃないでしょうか。釣り人ができる範囲の魚影は、そんなに変わらないという印象です。サイズに関しても、今回は比較的良かったですが、全体的には東京も大阪も似た感じだと思いますよ。

釣りができるシチュエーションも、東京湾奥と似た感じでしたね。

大野:今回は、シーバスが1本しかついていない場所で、その1本を釣るというピンの釣りが多かったのですが、そういうのが好きな人が楽しめるエリアも多かったです。1回でも見切られたらその魚は釣れないので、これはすごく難しいんですよ。最初からドンピシャで合ったルアーを正しいコースに入れないと食いませんから。ちなみに、自分は港湾部のイメージが強いですが、それしかやっていないわけじゃないですけどね。年間の6〜7割は河川での釣りで、その残りが港湾部の釣りなんですよ。

アウェイの釣りで大事なのは、とにかくキャストを繰り返してイメージの精度を高めていくこと

ホーム以外で釣りをすることが多い大野さんですが、アウェイの釣りで魚を釣っていくコツはありますか?

大野:今回は荒牧さんが付いてくれたので、それに合わせて自分なりのルアーで釣っていった感じです。でも、もし一人で開拓していく場合は、とりあえずルアーを投げることが大事。そして、可能な限りのフィールドの様子を想像して、ルアーをキャストしていくことで自分のイメージ図の精度を高めていく。ルアーを投げていくことで、水深や流れのスピード、ベイトの有無、ボトムの様子など、投げる度にそのスポットが見えてくるんです。そういった作業を繰り返していくうちに、それが自分のスポットになって、次に行ったときに1投目で仕留められるようなアプローチができるようになるんです。
あとは、自分がやったことのあるシチュエーションに置き換える。ここはよく行くあそこに似ているから、こんなルアーでこういう風に通してみようとか。でも水深が違うからルアーはこうしてみようとか。まずは自分が経験したことのある近い状況を思い浮かべて、そこから現場に合わせて変えていくような感じです。

では最後に、アウェイの釣りで得られたものを教えていただけますか?

大野:アウェイの釣りを経験していくことで、引き出しの多さと適応力はどんどん上がっていきましたね。さっき言ったような応用の繰り返しなので、経験値が増えることで適応力が上がっていく。ホームでイレギュラーなことが起こっても対応できるようになったり、また別のアウェイの場所に行ったときにも釣りやすくなるんです。
今回淀川でやった場所は、東京でいうと荒川や旧江戸川に多いシチュエーションで、流れのスピードやスピードも似ていたし、イメージはすごくしやすかったですよ。それでたまたま魚もいてくれたんで、イメージ通りに食ってくれました。ルアーローテーションも迷うことなくスムーズにできたし、すぐ答えも出ましたね。

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