そもそもバチって何?
シーバスにとって好条件なベイト
大野:バチというのは、ゴカイ、イソメなど、いろいろな種類の環形動物の総称です。それらは形態も生態も似ているので、この手の動物を釣り人はバチと呼んでいます。ゴカイの中にも、いろいろな種類がいるし、イソメにもいろいろな種類がいます。でも、僕としては、そこまでは判断していないですね。
ただ、時期や場所によって、バチの色や形が違うので、それぞれに合わせた釣り方は出てきます。バチはシーバスにとって、探しやすくて、食べやすいベイト。バチと一緒にイワシが泳いでいても、シーバスがバチを積極的に選んで捕食しているシーンを見たことがありますよ。
バチの種類とその特徴
メインは10cm前後のバチと小さいコバチの2種類
大野:バチの中でもどこでも一番多く見るのが10cm前後のバチ。次に、1〜3cmで動きが素早いコバチです。くるくる回っていたり、素早く泳ぎ回ったりしているバチですね。この2種類がメインのバチです。それ以外に、ものすごく細い、5〜6cmくらいのバチや、赤や青いバチもいたりする。これは、バチの群れの中に混ざっているような感じですね。コバチは赤いのが多くて、青いのはあまり見たことがないです。あとは、30cmくらいの長くて太いバチもいますね。
バチ抜け時期である12月から6月がパターンになり得る
大野:バチは1年中海底にいるのですが、冬から春にかけて、産卵のために一斉に水中に出てくるようになります。それが、いわゆるバチ抜けですね。東京都ですと12月の2回目の大潮からバチを水中で確認できるようになります。終わりは、夏ぐらいまではバチの姿を確認できます。パターンとして成立するのは6月いっぱいくらいまで。夏以降は、海底で生息しているはず。
バチ抜けエリアとレンジ
東京港湾部であればどこでもバチ抜けエリアに
大野:バチは東京港湾部であればどこにでもいますよ。川にも運河にもいますし、いない場所はないんじゃないかというイメージですね。本当に水が死んでいるような場所でなければ、バチはいますね。川ですと、上流域は汽水域だったらいると思います。
バチの種類とエリアの関係性
大野:大きなバチも小さなバチも、同じような場所と時期で見かけるので、エリアでバチが棲み分けられているのかどうかはよくわからないです。ただ、下げ潮は長いバチが出て、上げになると小さいバチが出たり、小さいバチがたくさんいる中に、でかいバチが泳いでいたりすることはよくあります。また、早期の河川でのバチ抜けは、ほぼ長いバチです。冬から春先にかけてですね。また、港湾部に関しては、早い時期でも長いバチもコバチもよくいますよ。
バチは表層だけでなく全レンジにいる可能性が
大野:バチが水中に出てくるのは、繁殖活動によるもの。水中を漂いながら、バチ同士が生殖しながらバチの生息範囲を広げている意味があります。なので、バチは水中の全レンジで漂っている可能性がありますね。また、シーバスも全レンジでバチを捕食している可能性があります。ボトムにいるバチを積極的に食べていることはよくありますからね。
水面にバチが全然見えないのに、鳥が水中に潜ってバチを食べているシーンもよく見ますし。そういった場合は、目視できないレンジにバチが溜まっているんだと想像できますね。バチが水面に多いのか、それともボトムに多いのか、それは状況によって違うということ。水深の層によって流れが変化している場合もあるかもしれませんね。
バチ抜けの時合い
満潮が夕マヅメに絡むタイミングがピークになりやすい
大野:バチ抜けの潮回りは、大潮・中潮・小潮です。特にピークになりやすいのは中潮ですね。このタイミングは、潮が大きく動くのでバチが流されることによって生殖活動の範囲を広げられるから。東京だと、満潮が夕マヅメに絡む時間帯が、一番バチが出る可能性は高いです。ただ、20時に満潮の日でも、夕マヅメの上げでバチがたくさん出て、下げ始めるとぱったり止まっちゃうということもよくあります。
バチ抜け後期の方が時合いは長い
大野:釣れる潮回りは大潮・中潮・小潮。大潮の後半から中潮中盤が一番釣りやすいですね。また、その1日の中で、バチの量もシーバスがつく量も、その日のピークがあります。冬の早期はとくにそれが顕著です。バチ抜け後期になってくると、夜中の上げ潮などでもどんどん釣れるようになってくきます。早期と後期で、釣りになる時間が倍以上変わってきますよ。
後期になってくると、冬の潮から夏の潮に変わっていって、夜に潮があまり動かなくなってくる。そうなると、小潮でも長潮でも若潮でも、バチが出るときは出ちゃいます。なので、後期の方が、釣りになる場所も、釣りになる時間帯も、数倍増えます。釣れている時間のピークも長くなりますね。
バチはハマるタイミングが短いタイムリーな釣り
大野:2週間からなる潮回りのうちに、バチがまともに出てパターンになるのが大潮・中潮の4〜5日くらい。そして、その5日間の中でもピークがあって、1日の中でもピークがある。1日の中でバチがパターンとなるのは3時間ほどだったりします。さらに3時間の中でもピークがある。3時間の中でも中間の1時間しか釣れないかもしれないし。早期は、3時間の時合いでもまともに釣れたのが30分だけとかね。
つまり、3時間のバチパターンが5日間あったとしても、2週間の中で15時間しかパターンが成立するタイミングがないわけです。なので、その15時間のうちに、バチが出てシーバスも付いている場所にアングラーが立っていることができなかったら、魚は釣れません。そもそも、タイミングを外せばバチが出るという現象を見ることすらできない。そういう意味では、難しい釣りとも言えますね。ただ、バチ抜け後期は、いろいろな潮回り、いろいろな場所でバチが見られるようになるので、合わせやすくはなってきますよ。
まとめ
まずはバチ抜けの基本的な知識から大野さんに解説していただいた。次回は、実践編として、ルアーのアクションや現場での釣果を出すコツを紹介していこう。
- PRO STAFF
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大野 ゆうき おおの ゆうき
東京湾奥を拠点に活躍するカリスマシーバスアングラー。常に魚を見失わない現場主義の理論を持ち、卓越したキャスティングテクニックを駆使して次々とシーバスを仕留めていく。
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